10

10 キャンバス

「ほな、空、見上げてみ」
どこまでも、青く高い空が、私たちの頭の上に広がっていた。
青いまま、何もかもが止まってしまったようだ。
私自身まで青くなってしまったような気がする。

と、彼が大きく息を吸い込んで、右の手を東の空に水平に伸ばす。
「行くで~」 ゆっくりゆっくりと彼の手が角度をつけて行く。
そして、その動いた後に、白い線がくっきりと引かれて行く。
さらに、上へ。 線は途切れることなく、その白を青い空に刻んでいく。

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